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チョコより甘い(前編)
2月13日。
明日にバレンタインを控えた夜遅くに帰宅すると、closeの札を掛けた店内のカウンターの中でティファが慌ただしく片づけをしていた。
「ただいま。なんだ、忙しそうだな」
「おかえりなさい!うん、今日は閉店ギリギリまでお客さんがたくさんいたから。クラウド、ごはんどうする?」
「ああ、大丈夫だ。外で済ませた。手伝うか?」
「ううん、大丈夫。お風呂入っちゃって」
話しながらくるくるとカウンターの中を行ったり来たり、ティファは随分慌てているようだった。
「本当に手伝わなくていいのか」
「大丈夫!」
「ふぅん」
毎年バレンタインには、ティファは日付が変わったらすぐにチョコを渡してくれる。
チョコを食べながらイチャイチャして、そのままめくるめく・・・がここ数年のお決まりだ。
今年もそれを期待しているのだけれど・・・。
まぁ、ティファは手際がいいからな。あの様子ならすぐに終わるだろう。
熱いシャワーを頭から浴びて身体中の砂埃を流していく。
荒れた土地を走ることが多いため帰宅する頃には髪も肌もザラザラだ。
毎日それを一気に洗い流し、さっぱりしたところで柔らかでいい香りのするティファを腕に抱え込むのが、なんとも言えない快感なのだ。
もちろん今日もそうしようと風呂上がりにティファのところへ向かうと、まだカウンターの中でパタパタと走り回っていた。
「まだ終わってないのか」
「あ、クラウド。うん、まだ。先に寝て」
「・・・・・・」
返事をしない俺に振り向き、ムスとした顔に気づき目を丸めるティファ。
「・・・・・・バレンタイン」
わざと拗ねた声で呟く。
「・・・・・・えっと」
目を逸らしてから、チロリと舌を出した。
「ごめんね」
・・・っ、今のは可愛かったけど・・・だめだ。
「楽しみにしてたんだけど、な」
「ごめんごめん!今日はずっと忙しくて作る時間なかったの。ちゃんと明日のうちには渡すから!」
時計を見ると、12時半。
「明日っていうと、15日だけど」
いつもは恥じらいながら、そして嬉しそうな顔で渡してくれていたのに「明日のうちには渡すから!」なんて言い方。
なんだかつまらなくて、くだらない上げ足を取る。
「えーっと、今日中に渡すから」
こちらを見もせずそう言うティファ。
なんか・・・寂しいな。
がっくり肩を落とし、寝室に向かった。
「・・・おやすみ」
「おやすみなさい。ごめんね!」
「ああ、いいんだ」
何年も一緒にいるとだんだんこうなっていくのは仕方ないことなのかな。
寂しいな・・・せっかくのバレンタイン、イチャイチャしながらチョコを食べたかった。
疲れていたからか、わりとすぐに眠りについた・・・・・・のだが、暗闇の中、甘い香りに目が覚めた。
(・・・チョコレート)
階下から漂ってくる間違えようのない香りに体を起こし、時計に目をやると深夜2時10分。
こんな時間に作っているのか、ティファ。
階段を下りて行くと、綺麗に片付いたキッチンにラッピング用品を並べ鍋でチョコを溶かすティファがいた。
「ティファ・・・」
「えっ!ああ、だめだめクラウド!見ないで!」
慌ててラッピング用品を隠す。
「こんな時間に作ってるのか?明日も仕事だろ?」
「・・・だって・・・」
俯くティファに近づき、ぎゅうと抱きしめた。
「ごめんな、俺があんな態度とったからだろ。無理させて悪かった」
「それは違うよ、クラウド。はじめから、せめて朝一番に渡すつもりだったから」
「そうか・・・」
腕に力を込めた。
ティファだって忙しいのに一生懸命考えてくれていたんだ。拗ねたりなんかして、バカみたいだ。
「だって・・・クラウド、依頼先とか配達先で毎年チョコ貰ってくるでしょ?せめて一番に渡したいから・・・」
・・・嫉妬してたのか?
毎年貰ってきたチョコを見ても「よかったね」としか言わず興味なさそうだったのに。
俯いた赤い頬にくすりと笑う。
「何作ってるんだ?」
「内緒」
「どうせまたトリュフだろ?」
「あ!何その言い方!クラウドが好きだって言うから作ってるのに。トリュフ作るの大変なんだから」
腕の中で染めた頬を膨らませるティファ。
「じゃあもう、簡単に作れる生チョコで済ませようかな」
「いや、トリュフがいい」
顔を覗き込み、目を合わせた。
「ティファの・・・トリュフがいい」
チョコの甘い香りに包まれながら、唇を合わせた。
「ありがとう、ティファ」
キスの合間に囁く。
「まだ・・・あげてないよ」
ティファも、キスの合間に囁く。
と、そこで良いことを思いついた。
「・・・やっぱり、朝じゃなくて今欲しいな」
「えっ!うーん・・・このガナッシュ冷やして丸めて、それをコーティングしなきゃいけないから・・・出来上がるの3時半くらいになっちゃうよ」
「それは待てないな」
「でしょ?」
「いいことを思いついたんだ」
「ん?」
「服脱いで」
「なっ!?」
「今年はトリュフになったティファをもらうことにする」
「な、なに言ってるの?」
「ティファも作る手間省けて楽だろ?」
ティファのジッパーを下げようとすると指をガッ!と掴まれた。
「クラウド!」
「・・・つれないな」
掴まれた指を握り返し、ティファの人差し指を立たせた。
「じゃあここだけで我慢する。これ、熱いか?」
溶けたチョコレートを指差す。
「そんなに熱くないと思う、けど・・・」
小指を入れて温度を確かめると、困惑するティファの人差し指を突っ込んだ。
「あっ」
抜き取ると、トロトロのチョコに包まれたティファのそれをすぐに口に含んだ。
「・・・・・・っ」
言葉を失い俺の口元を凝視するティファに見せつけるように、わざとねっとりとしゃぶりつき、チュポ、と音をさせて解放した。
「うん、美味い。おかわり」
また同じ指をチョコに沈め、同じように口に含む。ティファの瞳をじっと見つめながら、舌と唇で彼女の指を堪能した。
ポーっと頬を染めて固まるティファに、思わず吹き出した。
「・・・!な、なに笑ってるの!もう、やらしいんだから!」
我に返ったように手を振り払って、赤い顔を隠すために後ろを向く。
さっ、とラッピング用の金のリボンを手にとるとティファの首に巻いた。
「え、なに」
「じっとしてろ」
下手な蝶々結びを作ると、満足気に頷いた。
「ティファ・・・」
振り向かせると、自身の人差し指にチョコを絡め、ティファの唇に塗りたくった。
そして、チョコを舐めとりながら舌を差し込む。
「んん・・・」
目を閉じるティファの口を開かせると、またチョコを絡め取った指を差し込み、赤い舌に塗りたくる。
「あ・・・ん」
「美味いか?」
深いキスで、中までチョコを舐めとった。
ラムの香りに酔いしれながら長く長くキスをした。
後編へ続く
続きは大人の時間なので裏ページへどうぞ。